森の栄養循環を調べていたところ、落ち根という不思議な単語と出会いました。落ち葉はよく聞くのですが、地中の根っこが落ちるという表現が不思議でして。調べると、枯れた根っこが大本から切り離されることを、脱落すると言うのですね。直径2㎜以下の細い根が1年~数年で枯死し脱落したものを、落ち根と呼ぶようです。この落ち根は、落ち葉と同じように土壌を育て森林の物質循環に役立っているそうです。

先に落ち葉の役割についてです。秋から冬にかけて広葉樹や針葉樹が葉を落として、土の上に積もった落ち葉の層の中で、越冬する昆虫がいたり、土の保水力を上げたりするそうです。保温と保水ということでしょうか。細かくなった落ち葉は、さらに土中生物や微生物に分解されて土に還って、土壌に栄養を提供し豊かな森を支えてくれるそうです。

また、冬場に川を流れる落ち葉を見たりするのですが、落ち葉の持つ栄養は川や海にも循環するそうです。川の中では魚の越冬場所になり、流れながら川の生物や海の生物に分解されていくそうです。落ち葉の水に浮くという性質が、長距離の循環を可能にしているのですね。落ち葉スゴイ。
循環と言えば、最近は特に重力に逆らう栄養循環に興味があるのですが、樹木も該当するのではないかと思いまして。樹木が地中の奥深くまで根っこを伸ばし、根っこから栄養を吸い上げて、生長して樹高を高くし、高く伸びた枝から葉を落とす。世界の樹根の深さの研究によると,根の深さは平均約7mらしいので、これは地中から地表に栄養を運んでいることになるのではないかと。根っこスゴイ。樹木スゴイ。
そして、これらの根っこから枯れて脱落した根は、落ち根となってからも重要なようです。落ち葉と同様に分解されていくのは似ていますが、役割としては対照的なんだそうです。分解される過程で、落ち葉は窒素を吸収して微生物をたくさん育み、落ち根は窒素を放出して肥料として機能すると。窒素の流れが逆なんですね。また、落ち根になる前の根っこは窒素を吸収し、落ち根になると放出するというのも不思議な気がします。落ち根スゴイ。
分解に関わる微生物の中には、落ち葉を好む微生物と、落ち根を好む微生物といるそうです。生態系ってスゴイですね。そして土中にある窒素は長い年月をかけてマントルに到達して、火山と共に大気圏や地表に巡ってくるらしいです。小さい循環の重なり合いと大きな循環が合わさった循環システム、地球はスゴイ。