粘土に敬意を表して

敬意を表して

地熱を調べた際に、光が当たらないはずの地中に微生物がたくさんいるということを知りまして、地中の微生物を調べていたら、粘土鉱物という単語を知りました。海洋地殻上部の玄武岩内の亀裂を埋める粘土鉱物から、微生物が人間の腸内と同等くらいの密度で見つかったそうです。粘土鉱物は層状になっているようなので、その層と層の隙間から微生物が見つかったということでしょうか。

「常識覆す成果」海底地下の岩石1cm3当たりに100億細胞の微生物 -亀裂の粘土に濃集する有機物が密集の鍵- | 東京大学 理学部 地球惑星物理学科・地球惑星環境学科/大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻
プレスリリース鈴木 庸平(地球惑星科学専攻 准教授) 発表のポイント 「常識覆す成果」海底地下の岩石1cm3当たりに100億細胞の微生物 -亀裂の粘土に海洋地殻上部を構成する玄武岩(注1)を対象に、岩石内の微生物細胞数を計測する技術を開発し

粘土といえば、土や砂や泥の一種くらいに思っていたのですが、粘土を構成する粘土鉱物というものを調べてみると1000の用途が期待されるスゴイ物質なのですね。層と層の間に水が入ると止水バリア材になり、樹脂が入ると耐熱材になり、圧力に反応する有機物が入ると圧力センサー膜になり、光に反応する有機物が入ると光記憶膜になると。粘土鉱物は万能なミルフィーユなのだそうです。粘土スゴイ。

北海道大学大学院工学研究院・工学院広報誌 えんじにあRing 2017年7月号 ◆粘土鉱物―千の用途を持つ変な物質

陶芸で粘土に水を加えると柔らかくなり、火で焼くと耐久性が格段に上がるのも、層状の粒子の働きによるものだそうです。焼いた粘土はセラミックスとなり、高硬度・耐熱性・絶縁性などを持つ優れた素材になるというのもスゴイことですね。

焼き物を科学する:世界で一番はじめに生まれたテクノロジー(市川しょうこ/化学者) - ヒトツチ
焼き物と聞くと、湯のみや茶碗をイメージする人も多いのではないでしょうか。近年では、ガラスやプラスチック製品の普

そして、粘土鉱物は表面に負電荷を帯びているので、層と層の間に正電荷を帯びている放射性セシウムを吸着することが可能なのですね。一部の粘土鉱物はセシウムを内部に取り込んで固着することもできるとか。

環境省_環境中での放射性セシウムの動き:粘土鉱物による吸着・固着

さらに、粘土鉱物が二酸化炭素の呼吸をするような動きも発見されたと。これは層と層の間に炭酸イオンと二酸化炭素が交代で出たり入ったりしたということでしょうか。層が細かいので、層と層の間に入るものよって特性や性質が大きく変化するのでしょうね。

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物質・材料研究機構は、「ハイドロタルサイト」と呼ばれる粘土鉱物が、空気中の二酸化炭素を吸ったり、吐いたりしている“呼吸”現象を発見したと発表した。従来の地球規模での炭素循環に対する考え方を変える可

まさに粘土には1000の用途がありそうですね。大きい岩石のときは大地を支えて、細かくなったら粘土鉱物となって、多機能になっていく。どのような状態であっても、多くの役割を持つ鉱物はスゴイですね。粘土鉱物スゴイ。地球スゴイ。

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