先日北海道に行く機会があったのですが、雪が降った日よりも翌日の朝の方が滑るのですね。積もった雪がその圧力と夜間の寒さで凍って滑りやすくなるとか。氷のない地面のなんと安定すること、地面の摩擦のありがたさを実感しました。少し意外ではありますが、この氷の上の滑りやすさも最近解明されたのですね。摩擦によって、厚さ数100nmから1μmの水の層が生じるそうで、この層は粘弾性と粘着性のある油のような水でできていると。

これもまた氷の上の話ではありますが、氷の上でストーンを滑らせて点数を競うカーリング。このストーンがなぜ曲がるかも世紀の謎だったそうです。氷とストーン下部の微細な衝突が左右非対称で起きることによって旋回すると。ここ100年で微細な運動が観測できるようになって次々解明されているのでしょうか。

そもそも、この摩擦という現象、現代の研究でもよく分からないのですね。物質にどんな条件下で、どれほど静止摩擦力が生じるかは、実験してみないと分からないと。そして、物質間に働く摩擦力を計算するのも難しいみたいです。実生活で、コップを持つときも、ブレーキをかけるときも、摩擦がある感触は分かるので、摩擦があるのはすごく当たり前な感じではあります。原理は分からずとも摩擦が無かったら日常が成り立たないと思われますので、摩擦の存在に敬意を持ちたいと思っています。

身近な摩擦以外を調べてみると、プレートが沈むときに摩擦で隣接するプレートを引きずり込む、地殻運動があるそうです。地殻運動も摩擦の結果なのですね。
また、海の満ち引きによって動く海水と海底にも摩擦は発生し、潮汐摩擦と呼ばれているようです。この摩擦によって地球の自転が少しずつ遅くなるとか。水も摩擦を生むのですね。規模が大きいからでしょうか。

そして、宇宙からの隕石が大気との摩擦熱によって燃えることで地表が守られているという話もあるようです。摩擦バリアのようなものでしょうか。大気圏の摩擦力スゴイ。
未知の部分が多いとはいえ、普段意識せず摩擦の恩恵にあずかっています。摩擦あっての日常ということで。摩擦スゴイ。地球スゴイ。