骨に敬意を表して

敬意を表して

リンの栄養循環を調べていると、骨が出てくるのですね。骨の主成分はリン酸カルシウムなので、骨の形成にはリンが必要なようです。物理的に体重を支えたり、内臓を守ったりする骨。その骨の丈夫さを調べるとリンではなく、コラーゲンやカルシウムが出てきます。鉄筋コンクリートで例えると鉄筋がコラーゲンでコンクリートがカルシウムなどのミネラルになるそうです。

骨の強さに大きな影響を与える「骨質」(1)/骨粗しょう症(骨粗鬆症)ホームページ
骨の強さは骨の「量」=骨密度だけで決まるのではありません。もうひとつ、重要なのが「骨質」です。骨の質が悪いと骨は弱くなり、たとえ骨密度がそれほど減っていなくても骨折する危険性が高まります。

そもそも骨はカルシウムのイメージが強いのですが、このカルシウムもリンと同じく海に流れていくもののようです。森林の土壌では、岩石の風化や黄砂などが溶けた雨によってカルシウムが提供されており、河川によって海まで流れ、海にイオンとして溶け込んでいるのだとか。確かに、海にはサンゴや貝や甲殻類がたくさんいるのでカルシウム豊富そうです。実際に貝殻などの主成分は炭酸カルシウムのようで、海ではカルシウムが容易に手に入るということでしょうか。

そんな骨と海の生態系を調べてみると、クジラの死骸によって作られる生態系、鯨骨生物群集というものがありました。新種の生物もいたそうで、熱水噴出孔のように特殊な生態系として注目を集めているそうです。今のところ発見されたのは8例ほどとか。海底なので発見しにくいと思われますが、生態系ってスゴイですね。

海底の豊かな実り クジラの死骸が生み出す「鯨骨生物群集」の可能性 | ログミーBusiness
クジラの死骸が豊かな生態系を作るマイケル・アランダ氏:もしクジラが1頭、海に落ちて、人間がまわりにいなかったら、複雑でユニークな生態系が形成されるでしょうか(訳注:「鯨骨生物群集」の原語は”whale fall”)。実は、そのとおりなのです...

そして、海に溜まったカルシウムはどうやって陸上に循環しているのでしょうか。1つに火山灰によるカルシウムの提供があるそうです。火山がカルシウムを循環しているのですね。火山スゴイ。

森林のカルシウム不足を火山灰が救う | 同位体環境学がえがく世界

カルシウムの循環を調べてみたのですが、他にはあまり見つかりませんでした。他には、サケのように海中を巡って体にカルシウムを蓄えて川を登って、体ごと提供するような形になるのでしょうか。陸上ではカルシウムは貴重なのですね。

この貴重なカルシウムを貯蔵する骨の役割は重要だと思われます。骨は丈夫であることの他にカルシウムを貯蔵して、心臓や血管の脈動に関わる血中のカルシウム濃度を調整してくれているようです。骨を持つ脊椎動物は動くカルシウムの貯蔵庫のようなものなのかもしれません。

骨とカルシウム~カルシウムの働きと骨との関係~|骨を知る|骨の健康応援!骨ちょっといい話|雪印メグミルク株式会社
体内のカルシウムは約99%が骨と歯に存在し、骨や歯を丈夫に整えている大切な栄養素。では残りの約1%が何をしているかご存知ですか?骨を丈夫にするカルシウムは摂っても約7割が体外へ!骨に定着させるまでを意識したカルシウム生活を紹介します。

その貴重なカルシウムを保持する能力が高い植物として、スギやヒノキが挙げられるそうです。スギは土壌の中にある岩石からカルシウムを吸収する力が強いのですね。スギのある土壌やそこから流れる河川は、カルシウム濃度が高いみたいです。スギは花粉のイメージが強かったのですが、スギ、スゴイ。

スギ林・ヒノキ林の土壌がもつカルシウム貯蔵効率 | 京都大学生存圏研究所

なかなかカルシウムは循環が難しそうですね。それだけに骨だけになってからも骨の果たす役割は多いのかもしれません。骨スゴイ。地球の生態系スゴイ。

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