雷や摩擦を調べていると、静電気が良く出てきます。猫をなでるときや冬場の衣類の摩擦など、日常的に発生している静電気ですがなかなか謎が多いようですね。摩擦によって起こる静電気は、古代ギリシャで発見され、その現象を説明することは2000年以上もの間できなかったそうです。発生のメカニズムについて重要なことが発見されたのはごく最近なんですね。摩擦によって材料表面にある小さな突起が曲がり、突起が変形して電圧を発生させるみたいなのです。せん断変形というのですね。

電流が極めて小さいために感電しないとはいえ、パチッと音が鳴るような静電気の電圧は数千V~数万Vにもなるそうです。ちょっとした摩擦でもそこまで高電圧の電気を生み出せるというのは、なんだか不思議な気がします。
静電気の高い電圧で起きたプラズマ(電離した気体)は、空気中の窒素分子を分解し、酸素と結合して植物が窒素を取り込めるようにするそうです。これは雷の窒素固定と同じ役割ですね。また、静電気は木の中にあるキノコの菌糸を刺激して、成長形式を花や実を作るモードに切り替えることができるのだとか。落雷の直撃から少し離れた場所のキノコが増えるという報告はかなりあるようですね。

そして、静電気はちりなどを吸い寄せるイメージがあります。ちりや花粉などの微粒子は帯電しているので、静電気によって引き寄せられると。チョウやハチは飛ぶだけでプラスの静電気が生じるようで、空中で数センチ先のマイナスの電荷を持つ花粉を吸い上げるようです。近くを飛ぶだけで花粉を引き寄せるのですね。かつ、他の虫がその花に来たかどうかも花付近の電場で分かるそうです。チョウ、ハチ、スゴイ。静電気スゴイ。
そんなプラスの電荷を持つ虫を、クモはマイナスの電荷を持つ巣で引き寄せるようです。近づくと巣に引き寄せられるのですね。この引き寄せる力を利用して、線虫はハチに飛び乗るそうです。手も足も羽もない線虫は、自ら帯電して静電気を帯びたハチに飛び乗り、遠くへ移動すると。スゴイ世界ですね。虫の世界は人と比べてサイズが小さいので、電場による影響が大きいのですね。

また、粘土鉱物はマイナスに帯電して静電気で地中の栄養素を吸着するそうです。静電気の吸い寄せる力は様々なところで働いているのですね。
他に、大きなところでは、火山、地殻変動、砂嵐でも帯電現象は起きているみたいです。これらの帯電現象と生態系の関連が新たに発見されたら面白いですね。さらに大きなところでは、地球の磁気圏の影響で、月も満月の前後6日間は静電気を帯びているそうです。太陽風などから地球を守ってくれている磁気バリアは、太陽の逆方向に彗星の尾ように伸びるそうです。その尾の部分に月が入って帯電するとか。

静電気を調べてみましたが、かなりの多ジャンルで関連がありそうです。ミクロからマクロまで、ある種の必要性を伴って、静電気という仕組みが浸透しているような気がします。静電気スゴイ。地球スゴイ。