匂いに敬意を表して

敬意を表して

空気中に含まれる物質を調べていたのですが、空気中には匂い物質と呼ばれる揮発性の低分子の化学物質も含まれているのですね。空気を吸って嗅細胞でキャッチされた匂い情報は、脳に直接を伝達されると。五感のうち、脳に直接伝わるは嗅覚のみだそうですね。危険を瞬時に察知する必要があったり、多くの情報を同時に処理する必要があるからでしょうか。嗅覚は生命に近いところにありそうです。

嗅覚のひみつ | 日本脳科学関連学会連合

確かに、視覚や聴覚は光や音の伝搬をキャッチするもので、少し遠方の情報を得ているように思います。それに比べて、嗅覚、味覚、触覚は、対象となるそのものが、すでに感覚器に触れている状態なので、ここに危険があれば速やかに判断する必要があるのかもしれません。それにしても、匂いの元である、微細な分子を鼻で識別しているってなんだか凄いことですね。嗅覚は究極の分子識別装置という表現もあるようです。

「においの科学のウソ・ホント」| 生物化学研究室

この匂いを使って植物はコミュニケーションをするのですね。匂いで種を運んでくれる虫や鳥などを呼び寄せたり、食べられないように嫌がる匂いで防御したりしているようです。そして、植物同士も匂いで虫に食べられてることを知らせ合ったり、匂いで虫の天敵を呼び寄せて防御したりするとか。昆虫もこれらの植物の匂いや仲間のフェロモンなど、匂いが重要な情報源となっているように思います。匂いスゴイですね。

暮らしの科学 第48回 植物の香りで知る生態系の不思議
〈今月のアドバイザー〉松井健二(まつい・けんじ)。山口大学大学院創成科学研究科教授。博士(農学)。大阪府出身。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。植物が何のために、どのようにして香りを出すのか研究している。著書に『生きものたちをつなぐ「か

匂いは空気中だけかと思っていましたが、魚も嗅覚があるのですね。言われてみれば当たり前ですが、魚は水に溶けた匂い物質を嗅ぎ分けるそうです。人間の300倍近い嗅覚を持っているそうです。犬や猫が優れた嗅覚を持っているのは有名ですが、それに匹敵するレベルなのですね。

魚には人間にはない感覚器官がある!?嗅覚が人間の300倍鋭い魚も!?魚達の能力がスゴすぎる!|FISHING JAPAN(フィッシングジャパン)
水の中で生活する魚には、人間にはない特異な能力があります。そのひとつが絶対音感を持った魚が多いことですね。人間も小さいころからピアノなどを習い、絶えず音に親しんできた人の中には、絶対音感を持った人もいるのですが、人類全体からいえばわずかなも...

匂い物質は40万種類以上あるそうで、空気中にはそれほど多くの情報が含まれているのですね。それほど複雑な空気中の分子を識別できるというのは、なかなか難しいことをしているように思えます。五感を模倣したセンサー開発も嗅覚の実現が最も難しそうにみえます。嗅覚スゴイですね。

五感センサーの最後尾から巻き返す「嗅覚」
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚から成る「五感」の中でセンサーとしての開発が最も遅れていた嗅覚を、携帯端末に実装する動きが目立っている。感度の点でも分析能力の点でも性能が低い人間の鼻に代わって、人間が気づかなかった情報を大量に提供する。食品や薬...

世界は香りに満ちている、という表現があるようです。目に見えない空気中に、香りが満ちていると。無数の生物や物質が放つ分子が空気中に漂い、それを匂いとして捉え、その中で呼吸して、その一部を体内に取り込んでいるのも不思議な気がします。個々がそれぞれの生命体として営んでいるようでいて、地球上の無数の分子を通じて一体となっているようでもあり。見えないけれど匂いとしてその存在を嗅ぎ取れるというのも、なかなかスゴイことだな、と思います。匂いスゴイ。地球スゴイ。

タイトルとURLをコピーしました