空気中に含まれる物質を調べていたのですが、空気中には匂い物質と呼ばれる揮発性の低分子の化学物質も含まれているのですね。空気を吸って嗅細胞でキャッチされた匂い情報は、脳に直接を伝達されると。五感のうち、脳に直接伝わるは嗅覚のみだそうですね。危険を瞬時に察知する必要があったり、多くの情報を同時に処理する必要があるからでしょうか。嗅覚は生命に近いところにありそうです。
確かに、視覚や聴覚は光や音の伝搬をキャッチするもので、少し遠方の情報を得ているように思います。それに比べて、嗅覚、味覚、触覚は、対象となるそのものが、すでに感覚器に触れている状態なので、ここに危険があれば速やかに判断する必要があるのかもしれません。それにしても、匂いの元である、微細な分子を鼻で識別しているってなんだか凄いことですね。嗅覚は究極の分子識別装置という表現もあるようです。
この匂いを使って植物はコミュニケーションをするのですね。匂いで種を運んでくれる虫や鳥などを呼び寄せたり、食べられないように嫌がる匂いで防御したりしているようです。そして、植物同士も匂いで虫に食べられてることを知らせ合ったり、匂いで虫の天敵を呼び寄せて防御したりするとか。昆虫もこれらの植物の匂いや仲間のフェロモンなど、匂いが重要な情報源となっているように思います。匂いスゴイですね。

匂いは空気中だけかと思っていましたが、魚も嗅覚があるのですね。言われてみれば当たり前ですが、魚は水に溶けた匂い物質を嗅ぎ分けるそうです。人間の300倍近い嗅覚を持っているそうです。犬や猫が優れた嗅覚を持っているのは有名ですが、それに匹敵するレベルなのですね。

匂い物質は40万種類以上あるそうで、空気中にはそれほど多くの情報が含まれているのですね。それほど複雑な空気中の分子を識別できるというのは、なかなか難しいことをしているように思えます。五感を模倣したセンサー開発も嗅覚の実現が最も難しそうにみえます。嗅覚スゴイですね。

世界は香りに満ちている、という表現があるようです。目に見えない空気中に、香りが満ちていると。無数の生物や物質が放つ分子が空気中に漂い、それを匂いとして捉え、その中で呼吸して、その一部を体内に取り込んでいるのも不思議な気がします。個々がそれぞれの生命体として営んでいるようでいて、地球上の無数の分子を通じて一体となっているようでもあり。見えないけれど匂いとしてその存在を嗅ぎ取れるというのも、なかなかスゴイことだな、と思います。匂いスゴイ。地球スゴイ。