菌糸ネットワークを調べていると、土中に張り巡らされている菌糸を伝って水が移動していることを知りました。重力で下に移動しているだけではないのですね。土の塊や岩の間などにも重力に逆らって水が移動していて、土壌全体が水を含んだ状態を保っているそうです。
これを実現しているのは、水の表面張力によって起きる毛細管現象という、液体が細い管の内側を伝わって登ろうとする物理現象だそうです。水銀などの液体金属を除けば、水は全ての液体の中で最も表面張力が大きいのですね。水の電気的極性が大きいのが要因だとか。表面張力は、なるべく表面積を小さくして密に固まろうという力だそうで、丸い水滴ができるのもこの力のおかげだそうです。アメンボは、足の先の細かい毛で水面の水をはじき、この表面張力によって浮いているのだとか。
調べると、表面張力(毛細管現象)をうまく活用している生物が多いようです。植物が葉からの蒸散力と併用して、表面張力で根から水を吸い上げている話はよく聞きます。一部のコケ植物では、内部ではなくて外側の葉や茎の表面に水を吸い上げて乾燥を防ぐようです。葉や茎の隙間を伝わって葉の付け根に溜まった水は、次の葉に伝って登り、先端まで水が運ばれるのだとか。コケ類は受精に水が必要で、特にヒメツリガネゴケは先端まで届いた水を使って受精するそうです。

毛細管現象に適したサイズの隙間や溝があれば自動的に水が吸い上げられるのですね。一部の両生類や甲殻類もこの構造を持つそうです。フナムシの脚先からエラまで続く微細な毛は、水を途切れることなく吸い上げるようです。2種類の太さの管が組み合わさりポンプのようになっているのだとか。また、モロクトカゲの皮膚の溝は、体のどこかが水や霧に触れると水を吸い込んで、口角まで流れるとか。まるで自動給水装置ですね。


表面張力を調べていると、水を細部にまで行き渡らせるために働く力のように感じます。外部的なエネルギーを使わず、シンプルな仕組みで水が行き渡るというのはスゴイですね。水の表面張力スゴイ。水の惑星、地球スゴイ。