植生遷移に敬意を表して

時間に敬意を表して

ブナを調べていたときに、極相林という植生の状態を知りまして、植物が長い年月をかけて、より安定した群落に入れ替わっていくことを植生遷移と呼ぶのですね。裸地から森林ができるまでの状態遷移を一次遷移といって、火山の噴火などで岩石に覆われた裸地から始まる乾性遷移と、湖沼が土砂などで覆われた裸地から始まる湿性遷移があるそうです。草木の1本もないような裸地に、最初にコケ類や地衣類が侵入して薄い土壌を作り、次に一年生草が侵入し、やがて地下茎を伸ばす多年草が侵入して厚い土壌を形成し、陽樹を中心とした森になり、陰樹を中心とした森になって安定した森になるのだとか。

植生の遷移/裸地から森林ができるまで
植生の遷移とは、ある場所の植物群落を構成する植物の種類が時間の経過とともに、別の植物群落に移り変わってゆくことです。裸地に地衣・コケ植物が定着するようになると、その場所の養分や保水力などの環境条件を変化するため、その環境に適した別の植物が生...

最初に侵入するコケ類、地衣類は土が無い中で生息するのですね、コケは岩石を溶かして、リンや鉄などを溶出するようで、ミネラル分を周りに提供しているのだとか。コケは金属成分を蓄積する能力を持っているみたいで、土壌にとってはマイナスになる銅、鉛、カドミウム、などの金属も蓄積するそうです。コケは土壌を浄化しているのでしょうか。コケ、スゴイですね。

土壌形成初期におけるコケと菌類による岩石元素の溶解と植物利用可能性の解明
コケは、他の植物が定着することが難しい岩石上にも生育することができる。そのため、岩石上への土壌形成に重要な役割を果たすと考えられてきた。これまでの研究では、コケが岩石上に生息することで、リンや鉄といった元素の岩石からの溶出量が大幅に増加する...

地衣類は、菌類と藻類の共生体で、菌類が岩石などから栄養を抽出し、藻類が光合成を行うそうです。コケが金属を集めるように、地衣類も土壌にとってマイナスになる放射性セシウムを保持するのだとか。地衣類、スゴイ。過酷な裸地に、最初に侵入するコケ類と地衣類の役割は重要ですね。過酷な裸地の種類によって、火山遷移、塩性遷移、砂質遷移があるそうです。

計算化学を駆使して地衣類が放射性セシウムを保持する謎に迫る
地衣類が合成する代謝物の一部が放射性セシウムの保持に関係すると考え、福島県内で観察されるウメノキゴケやキウメノキゴケなどの地衣類が産する5つの代謝物とセシウムが作る錯体形成力を世界で初めて量子化学計算手法を駆使して求めることに成功した。

その後は、先駆植物やパイオニアプランツと呼ばれる草木が侵入して、土壌ができ、陽樹林が形成されると、林床への日が当たらなくなるそうです。そこで少ない日光で育つ陰樹が増えて、陰樹林を形成するのだとか。そのようにできた森林は遷移の最終段階である極相林になり、何百年を経てブナの森のようになるそうです。

遷移
目標: 群集遷移理論の一本化

なかなか裸地を目にする機会はありませんが、荒原→草原→低木林→森林となっていくプロセスが凄いですね。その年月も、その移り変わりも、想像することしかできませんが、植生遷移、スゴイ。地球の緑になるプロセス、スゴイ。

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