生態系に存在する類型を調べていたら、レヴィウォークという単語が出てきまして、生物の移動に関する共通パターンで、かなり多くの現象にこのパターンが見られるそうなのです。レヴィウォークは、ランダムに方向転換するランダムウォークの一種で、不規則な短い移動の中で稀に桁違いに長い直線移動が現れるという特徴があるようです。ウバザメ、ウミガメ、ペンギンなどが餌を探すときの移動パターンは、このレヴィウォークのパターンなのだとか。
他には、バクテリア、T細胞や癌細胞、ショウジョウバエ、ミツバチ、ダンゴムシやアリ等の昆虫類、マグロなどの魚類、アホウドリなどの鳥類、ジャッカル、クモザルなどの哺乳類にまで、共通してレヴィウォークが見られるそうです。このパターンは、餌などのターゲットの在り処の事前情報がない状態でターゲットを探す場合においての、最適と予測される行動戦略なのだとか。このパターンに沿った行動を取ると、ターゲットとの遭遇率が最大化されるのですね。餌を探す以外にパートナーを探す場合にも効果的なようです。これも生存戦略の一種なのでしょうか。

もともとは液体中を漂う粒子の動きとしてレヴィウォークが発見されたようですが、細胞から微生物、昆虫、哺乳類まで、これだけの様々な生体や生物に共通したパターンがあるというのが凄いことですね。レヴィウォークは、距離と頻度がレヴィ分布という確率分布に沿っているそうで、標準的である正規分布よりも極端に変動する確率モデルだそうです。
自然現象の中には、純粋なランダム性や正規分布では説明がつかないことが多そうな気がしていましたが、このレヴィウォークはレヴィフライトとも呼ばれる、べき分布の1つのようです。べき分布は、極端に高い値を少数が持ち、低い値を多数が持つような分布で、発生する確率が値のべき乗に比例するという分布だそうで、地震の大きさと発生頻度、山火事の被害面積と発生頻度などが該当するそうです。小さな事象がたくさん起きて、ごくまれに極端に大きな事象が発生するという確率分布のようです。
レヴィウォークはある種の限界点を迎えると発生するという説もあるようで、低確率で極端な動きをすることで状況を打破することができるのでしょうね。備わっていたのか身に付けてきたのかは分かりませんが、生物や生体内で共通するシステムや法則には何らかの意味があるような気がします。レヴィウォーク、スゴイ。地球の自然の法則、スゴイ。