レヴィウォークに敬意を表して

生物に敬意を表して

生態系に存在する類型を調べていたら、レヴィウォークという単語が出てきまして、生物の移動に関する共通パターンで、かなり多くの現象にこのパターンが見られるそうなのです。レヴィウォークは、ランダムに方向転換するランダムウォークの一種で、不規則な短い移動の中で稀に桁違いに長い直線移動が現れるという特徴があるようです。ウバザメ、ウミガメ、ペンギンなどが餌を探すときの移動パターンは、このレヴィウォークのパターンなのだとか。

Nature ハイライト:野生のレヴィウォーク | Nature | Nature Portfolio
Natureは、毎週木曜日発行の国際的な総合科学ジャーナルです。掲載される論文は、独創性、重要性、社会性などの観点から査読を受けたもので、時に、科学界のみならず社会にセンセーションを巻き起こすことさえあります。また論文以外にも、社会的関心の...

他には、バクテリア、T細胞や癌細胞、ショウジョウバエ、ミツバチ、ダンゴムシやアリ等の昆虫類、マグロなどの魚類、アホウドリなどの鳥類、ジャッカル、クモザルなどの哺乳類にまで、共通してレヴィウォークが見られるそうです。このパターンは、餌などのターゲットの在り処の事前情報がない状態でターゲットを探す場合においての、最適と予測される行動戦略なのだとか。このパターンに沿った行動を取ると、ターゲットとの遭遇率が最大化されるのですね。餌を探す以外にパートナーを探す場合にも効果的なようです。これも生存戦略の一種なのでしょうか。

生物の移動パターンを数理モデルで探る – レヴィウォークの仕組みと機能的利点
生物はどのように動く?生物において、空間を移動する性質は普遍的にみられます。動物個体はもちろんですが、細胞

もともとは液体中を漂う粒子の動きとしてレヴィウォークが発見されたようですが、細胞から微生物、昆虫、哺乳類まで、これだけの様々な生体や生物に共通したパターンがあるというのが凄いことですね。レヴィウォークは、距離と頻度がレヴィ分布という確率分布に沿っているそうで、標準的である正規分布よりも極端に変動する確率モデルだそうです。

私たちはどのように団結して行動するのか?―サッカーチームの行動パターンから学ぶ
もともとは液体中を漂う粒子の動きとして報告されたレヴィウォークは、冷たい原子の運動から細菌の群れまで、非常に幅広い現象を正確に説明することが分かっています。そしてこの度、学術誌『Complexity』で発表された新たな研究で、「競争する生物...

自然現象の中には、純粋なランダム性や正規分布では説明がつかないことが多そうな気がしていましたが、このレヴィウォークはレヴィフライトとも呼ばれる、べき分布の1つのようです。べき分布は、極端に高い値を少数が持ち、低い値を多数が持つような分布で、発生する確率が値のべき乗に比例するという分布だそうで、地震の大きさと発生頻度、山火事の被害面積と発生頻度などが該当するそうです。小さな事象がたくさん起きて、ごくまれに極端に大きな事象が発生するという確率分布のようです。

レヴィ・フライトと呼ばれる物質の異常拡散の微視的な仕組みを数理的に解明 ~ブラウン運動とは異なる現実世界のランダムな拡散を理論化~ – COTRE(コトリ)|COmmunity of Tsukuba REsearchers
筑波大学の研究情報ポータル、COmmunity of Tsukuba Researchers、略してCOTREにようこそ!このサイトでは、筑波大学に所属する研究者の情報、筑波大学が誇る高被引用論文、研究推進体制、学内の諸手続きなど筑波大学の...

レヴィウォークはある種の限界点を迎えると発生するという説もあるようで、低確率で極端な動きをすることで状況を打破することができるのでしょうね。備わっていたのか身に付けてきたのかは分かりませんが、生物や生体内で共通するシステムや法則には何らかの意味があるような気がします。レヴィウォーク、スゴイ。地球の自然の法則、スゴイ。

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