シアノバクテリアを調べていた際に、ストロマトライトという層状の岩石には、その時代の1年の日数が刻まれているという話が出て来ました。年輪や地層以外にも、時間や時代に関する記録を刻み込む天然の痕跡物があるのですね。
ストロマトライトは、夜間にシアノバクテリアが粘液で海水中の堆積物を固定して、埋もれないように表面に出て日中は光合成を行い、また夜間に堆積物を固定することによって層状に積み重なった岩石だそうです。1日1枚薄い層を形成しながら、太陽に向かって成長するため、1年の周期がカーブとして刻まれるのだとか。1年の周期間の層の数は、その時代の1年の日数を表し、8億5千万年前は1年が435日だったそうです。地球の自転は今より速かったのでしょうね。
木の年輪は樹木の幹にできる同心円上の層で、春~夏は成長が早く、夏~秋は成長が遅いため、1年に1層ずつの模様のようになるようです。木の年齢を知ることができる他、当時の気候の様子が伺えるそうです。同じように、サンゴやシャコガイには日輪と呼ばれる層があり、昼と夜の成長速度の差が模様のように残るのだとか。この日輪にもカーブがあることで1年の周期が分かるそうです。

地層は、砂礫や泥などの堆積物やそれらが固まった堆積岩が、層状に重なり合ったものだそうです。下に向かう程、古い時代になるもので、堆積物から過去の環境変化や生物の活動を知ることができるのですね。堆積物が積み重なったものには、地層以外に、湖に沈んだ堆積物、海底に沈んだ堆積物があるようです。
年縞と呼ばれる縞模様の湖底堆積物は、春~秋はプランクトンの死骸が沈んで暗い色の層が、秋~冬は黄砂や鉄分が沈んで明るい色の層が、交互に堆積して1年に1層形成されるそうです。特に水月湖では45mもの湖底堆積物に7万枚もの年縞が刻まれていたとか。その痕跡からは、気候変動に加えて地磁気の変動も読み取れるのだそうです。この水月湖の痕跡物の残り方は奇跡のレベルなのですね。
また、タービダイトと呼ばれる混濁流による海底堆積物からは、洪水、地震、津波、海底火山噴火の痕跡が見つかるようです。
他には、氷床コアと呼ばれる、降った雪が氷になって積み重なった痕跡物があるそうです。氷床コアの表層は1年で1枚で、深度が深くなると重みによって層の厚みは薄くなっていくのだとか。氷に閉じ込められた塵、火山灰、気泡、微細な物質によって、当時の気候や環境を知ることができるのだそうです。氷になっているので、その時代の水が残っているというのも凄いことですね。
その時代の痕跡を刻まれている痕跡物のおかげで、その時代を知ることができるというのは凄いことですね。天然の痕跡物、スゴイ。地球の歴史、スゴイ。