キーストーン種を調べていると、カメの話が出て来ました。キーストーン種は、個体数は少なくても、生態系のバランスを保ったり、環境を変化させて他の生物に貢献したりする重要な種のことで、いくつかのカメの種も該当するようです。
ゴファーガメと呼ばれる陸地に生息するカメの一種で、特に砂漠にいるカメはサバクガメとも呼ばれ、穴を掘って周辺環境を変化させるため、砂漠のエンジニアと呼ばれることもあるみたいです。まるで工事のように環境を変化させる種を生態系エンジニアと呼ぶようなので、この場合は掘削工事になるのでしょうね。
サバクガメは、冬の寒い気温をやり過ごすために冬眠し、夏の猛暑を避けるために巣穴を掘るそうです。巣穴の長さは約10mにもなり、1年の3/4を巣穴で過ごすそうです。サバクガメはこの巣穴を1年に数十個も掘るので、ヘビやワラビーやハヤブサなどの他の生物もこの巣穴を利用して、冬を越したり、夏に隠れたりして生き延びることができるのだとか。キーストーン種ということは、この穴が無ければ生きていけない生物が多くいるというこのなのでしょうね。

ゴファーガメの一種で別の地域に生息するアナホリガメも、名前の通り穴を掘るようで、その巣穴はヘビ、両生類、哺乳類など350種を超える種に避難場所を提供しているようです。冬や夏だけでなく森林火災の時の避難場所でもあるようです。穴を掘ることによって、土壌に空気を通し、植物の成長を促したりするだけでなく、アナホリガメは種子の散布も行ってくれるのだとか。カメ、スゴイ。

リクガメの一種であるゾウガメは、果実を食べることで植物の種子散布を行い、特に外来植物をより好んで食べその繁茂を防ぐそうです。外来種を抑えることで、生態系を回復させることができるのだとか。本来の植生に戻すことができる能力ってスゴイですね。

次は、海に生息するウミガメ類です。ウミガメ類は、放っておくと異常増殖してしまうクラゲを食べて、海の生態系のバランスを取っているそうです。特にオサガメは、地球上の生物で一番クラゲを食べようで、1日に200kg食べるのだとか。
ウミガメの行動範囲は広く、アカウミガメやオサガメは10000km、移動範囲が狭いと言われるタイマイも6000kmを移動するそうです。そうやって海を広く回遊して集めた栄養素を、砂浜に卵を産むことで陸地に還元しているのだとか。たくさん生まれた卵は全てがふ化するとは限らないため、砂浜での栄養分となるみたいです。陸から海に流れた栄養を、陸へ戻すという、これも大きな循環の1つなのですね。
海に生息するカメの一種タイマイは、海綿を食べるそうです。海綿は毒を持ち、広い範囲で珊瑚にダメージを与えるみたいです。タイマイは、海綿を食べることで珊瑚礁を健康に保ち、他の生物たちの生息場所を守っているのだとか。また別の種であるアオウミガメは、海草を食べて、過量になりやすい海草の量のバランスを取っているそうです。

カメの生態系に与える影響はかなり大きいようです。生態系のバランスを取るという役割は凄いですね。全体にとって適量である、ということはどうやったら分かるのでしょうか。カメ、スゴイ。地球の生態系、スゴイ。