風が砂漠の砂を海に運んで、海洋に鉄分を提供しているということを調べていたときに、鉄含有エアロゾルという言葉が出て来ました。エアロゾルは、気体中に固体や液体などの微粒子が広がった状態のことのようで、微粒子のサイズは10nm~1mmと様々なようです。霧、もや、煙などもエアロゾルに該当するみたいです。他には、火山による灰の微粒子や二酸化硫黄などの硫酸性エアロゾル、森林火災などによる炭素性エアロゾル、海の波や泡が弾けてできた海水飛沫による海塩性エアロゾルなどがあるそうです。
他には、植物の放出するテルペン類などのBVOCと呼ばれる揮発性の有機化合物も、大気や太陽光による酸化によってエアロゾルになるそうです。エアロゾルは、太陽光を散乱して大気を冷やしたり、吸収して大気を暖めたりするそうで、地球の熱の出入りに影響を与えているのだとか。エアロゾルは雲の核にもなるため、太陽光の反射率であるアルベドにも影響しているみたいです。
また、生物に由来するエアロゾルを特にバイオエアロゾルと呼ぶそうで、細菌,ウイルス,花粉,動植物の細胞断片などが微粒子となっているそうです。ヤケイロダケというキノコの胞子は高度1,000m、納豆菌は高度数千mの上空をエアロゾルとして飛んでいるのだとか。
高高度の大気中は、紫外線が強く、乾燥し,激しい温度変化がある過酷な環境なので、細菌は鉱物粒子の影に隠れたり潜ったりすることで生き延びるそうです。このため、黄砂などの鉱物粒子は「微生物の空飛ぶ箱船」と呼ばれるのだとか。
バイオエアロゾルは氷雲も作るようで、氷核活性細菌であるシュードモナス・シリンガエなどは、上空で通常-15°C で凍る水を-2°Cで凍らせて氷晶核を作り、氷雲を作るそうです。そして、降雪とともに地上へ下降し、氷で植物細胞を破壊して植物体内に入り込んで生活するみたいです。その後、枯死した植物から再び大気中へと放出された細菌は、再び氷雲を作って別の植物に移動するのだとか。こんな移動の仕方があるのですね。氷核活性細菌、スゴイ。

エアロゾルの微粒子は目に見えませんが、栄養循環が行われたり、微生物が移動したり、雲や氷雲を形成したり、太陽光の吸熱や放射を調整したり、大気中で多くのことが行われていたですね。エアロゾル、スゴイ。地球の営み、スゴイ。