長距離通信に敬意を表して

生物に敬意を表して

振動を調べていると、周波数の高い震動と低い振動では、届く距離に違いがあるという話が出て来ました。音で言えば、低音の方が、空気中でエネルギーが減衰しにくく障害物を回り込みやすいので、遠くまで音が届くようです。電波に関しても、振動数が低い超長波は、地表面に沿って伝わり低い山をも越えることができるようで、水中でもあまり減衰しないのだとか。

総務省 電波利用ポータル|周波数割当て|周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴

生物同士での通信といえば、コミュニケーションという名の情報伝達ですが、低音を用いて長距離間で伝達している生物がいるようです。ゾウは、インフラサウンドと呼ばれる20Hz以下の超低周波音を発して地面を振動させて、その振動を足の裏で受け取り、約6.4kmもの長距離コミュニケーションを取っているのだとか。空気中を伝わる音の速度340m/秒に比べて、地面を伝わる速度は5000m/秒にもなるようで、音の10倍近い高速通信になるようです。奏でる振動は「レッツゴー」や「私たちのグループへようこそ」など、意味ある言語として伝わるのですね。ゾウ、スゴイ。

象は「鳴き声」で地面を振動させ6.4kmもの遠距離コミュニケーションをとれることが判明 - ナゾロジー
Point・オックスフォード大学は、象が低い周波音を用いて長距離コミュニケーションを行っていることを発見・研究者らは、地面の振動音を観察することで密猟者などから象を救うことに応用したいと考えているオックスフォード大学は、象の足元から発せられ...

また、水中の音速も1500m/秒となり、空気中の5倍近い高速通信が可能なようです。水中では、イルカの発する音波は10km以上も伝わるようで、イルカも長距離通信しているみたいですね。さらに、クジラに至っては、超低音の歌によって800kmの長距離コミュニケーションが可能なのだとか。歌が言語となって会話するというのはどこか神秘的ですね。そもそも、クジラの放つ音自体が非常に大きいみたいで、生物が出す最大の音だそうで、水が沸騰するレベルなのだそうです。

800キロ離れていてもコミュニケーション可能 クジラたちの聴覚の謎 | ログミーBusiness
クジラが仲間に呼びかける声は、人の鼓膜が破裂する音量マイケル・アランダ:クジラやイルカは、おどろくほど大きな音を出すことができます。たとえば、シロナガスクジラが800キロメートル離れた他の個体とコミュニケーションを取るために使う呼び声は、1...

低音ではありませんが、オオカミの遠吠えや、鳥やサルの鳴き声も数km先まで届くものがあるようです。また、音による通信ではないのですが、ある種のガのオスは、フォロモンによって数キロ離れた雌の居場所を知ることができるのだとか。このガのオスの嗅覚は凄いようで、感度を上げるタンパク質によって嗅覚が数百倍になっているそうです。

ガ求愛行動:性フェロモンを解明 東大など | Chem-Station (ケムステ)
カイコガの求愛行動で、雌が出す性フェロモンを雄が感じる際、その感度を数百倍に上げているたんぱく質を東京大と京都大の共同研究チームが見つけた。ガは数キロ離れた雌の居場所を知ることができるが、その超高感度センサーの仕組みの一端が解明された。

長距離コミュニケーションについて調べてみましたが、地球のスケールを感じるような距離でも通信している生物がいるのですね。長距離もあれば短距離もあり、様々な生物間のコミュニケーションによって世界は繋がっているのかもしれませんね。長距離通信、スゴイ。地球のスケール、スゴイ。

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