生態系などの絶妙なバランスを調べていると、安定して均一な生態系よりも、適度に変化があって多種多様な生態系の方が、全体的なバランスが取れているような気がします。ある程度の規則を持ちながら小さく不規則に変化することを、ゆらぎと呼ぶようです。また、平均値に近い範囲を保ちながら小さく変動することや、ある程度の秩序の範囲で小さく予期せぬ乱れがあることも、ゆらぎに該当すると思われます。
この生態系におけるゆらぎの1つに、攪乱というものがあるようで、定常状態で安定している生態系を短期的に乱すこと、小さな破壊が再生や多様性を促すことを意味するようです。気温や湿度や生物の数もある程度の範囲内で常に変動しているようなので、自然は常にゆらいでいるのかもしれませんね。

ある程度の範囲内で適度にゆらぐこと自体が、絶妙な仕組みのようで不思議ではありますが、このゆらぎにはどこか心地よさもあるようなのです。波のリズム、風の強さや向き、炎の揺れ、樹々のざわめき、雨の強さや間隔、雲の流れや形、川の流れや音など。これらに含まれるゆらぎの中には、1/fのゆらぎと呼ばれる変動パターンがあるようで、周期的な変動に時折不規則な変動が重なるようなパターンが自然らしさを感じさせるのだとか。
1/fのゆらぎは、高い周波数は出現頻度が少なく、低い周波数は出現頻度が多い、というパターンのようでピンクノイズと呼ばれるようです。他に、ピンクノイズのパターンをもっと極端にしたレッドノイズや、高い周波数も低い周波数も同じ頻度で出現するホワイトノイズなどがあるようです。生体機能や自然現象には、周波数の出現頻度に共通点があるものが多いということなのでしょうね。ピンクノイズは自然を連想させるからか、心機能などにプラスの影響があるのだとか。

ミクロの世界では、電子や量子の動きにもゆらぎがあるようで、電子を確率的な存在とする不確定性原理によって説明されているようです。また、電子がある範囲で微小に変動していることによって、分子間にファンデルワールス力と呼ばれる引き寄せ合う力が発生しているのだとか。宇宙に関する理論にも量子のゆらぎという概念が組み込まれているようですし、ミクロでもマクロでもゆらぎは重要なようです。
様々なゆらぎを見てみましたが、周期的という意味では、歳差運動などの数万年単位の周期、公転や自転などの年月日周期、大気の流れや海流のサイクル、生物のライフサイクルなど、多くの周期が重なっている状態は、多くの周波数が重なっている状態と似ているのかもしれません。それぞれの周期にわずかなランダム成分があって、安定的なゆらぎの中で生命が成立しているのかもしれないですね。ゆらぎの絶妙さ、スゴイ。地球の絶妙さ、スゴイ。