エネルギー通貨と呼ばれるATPを調べていると、クエン酸回路というものが出来てきます。クエン酸は柑橘系や梅干しなどに含まれる酸味のある有機化合物で、クエン酸回路(TCAサイクル)は生体内でATPというエネルギー源をつくるためのサイクルなのだそうです。このサイクルが開始されて最初にできる物質がクエン酸なので、クエン酸回路と呼ばれているのだとか。
クエン酸回路を持つ生物・持たない生物
酸素呼吸をする微生物・植物・動物などのほとんどはクエン酸回路を持つようで、乳酸菌などの酸素を利用しない嫌気性細菌や、メタン生成菌などの古細菌(アーキア)の一部は、クエン酸回路を持たないようです。このサイクルはミトコンドリアを持つ細胞内で行われるようで、ミトコンドリアを持たない赤血球もクエン酸回路を持たないようです。
サイクル
クエン酸回路のサイクルは、1.クエン酸→2.イソクエン酸→3.α-ケトグルタル酸(GABAの元)→4.スクシニル酸→5.コハク酸(うまみ成分)→6.フマル酸→7.リンゴ酸(リンゴの酸味)→8.オキサロ酢酸→1.クエン酸と合成が続き、サイクルが回り続けるのだとか。サイクル内ではATPを生成するための物質を作っているようで、実際にATPを作るのは電子伝達系という組織だそうです。
クエン酸回路は、栄養を分解する解糖系から細かくなった栄養をもらい、生成したものを水素イオンを生み出す電子伝達系に渡し、生成された水素イオンがATP合成酵素を回転させてATPを生成するのだそうです。水が水車を回すような感じなのですね。このサイクル1回で、解糖系で2ATP、クエン酸回路で2ATP、電子伝達系で28~30ATPが生成されるそうです。
糖と呼吸
クエン酸回路の反応速度は非常に速いようで、数秒から数分程度で1サイクルが回るようです。人は180秒分のATPしか持ってないそうなので、常に生成され続けているのですね。解糖系はブドウ糖をピルビン酸(乳酸の元)にして、クエン酸回路は二酸化炭素をつくり、電子伝達系は酸素が電子を受け取って水になることで動くようで、栄養と呼吸と運動と乳酸の関係が垣間見える感じですね。
逆回転も可能
クエン酸回路は、糖などの有機化合物を二酸化炭素と水にする働きともいえるようで、逆クエン酸回路は、二酸化炭素と水を用いて有機化合物を作る働きをするようです。これは光や酸素がないところにいる一部の細菌によって行われるようで、太古の地球では逆回転の回路が使われていたという説があるみたいですね。また、順回転は、複雑な物質を単純な物質に分化してエネルギーを取り出す異化と呼ばれ、逆回転は、エネルギーを用いて単純な物質を複雑な物質に合成する同化と呼ばれるようです。
クエン酸回路スゴイ
クエン酸回路は、糖や脂肪やタンパク質でも、お酢からでもエネルギーを作ることができ、中間産物を再利用しながら循環する回路になっているようで、エネルギー的にもかなり無駄のない生産を行っているのだとか。これがほとんどの細胞内で回り続けているおかげで、生物は生きていけるのですね。クエン酸回路スゴイ。地球の呼吸システム、スゴイ。