元素合成に敬意を表して

物質に敬意を表して

鉄を調べていた時に、鉄より重い元素を生み出すことはかなりハードルが高いという話が出て来ました。太陽のように光を発する恒星の内部は、超高温・超高圧で、軽い元素同士が核融合して重い元素ができるそうですが、核融合で生成できる元素は鉄までなのだそうです。鉄より重い元素になると、星の生涯をかけたプロセスが必要になるのだとか。元素を合成する機会は希少で、元素は貴重なのですね。

元素は星のかけら

恒星に比べると低温・低圧な地球の内部では核融合は難しいようで、138億年~46億年前に宇宙のどこか遠くの星で作られた元素が集まって地球が出来たと考えられるようです。恒星などが生み出した元素を宇宙空間に放出するには、星がその一生を終えないといけないようで、元素はどこかの星の生涯の痕跡なのかもしれませんね。安定的な元素は事実上、寿命がないようなので、地球は初期に集まった元素を駆使して営みを続けているのですね。

【KEKエッセイ #32】元素はいつどこで生まれたの? - KEK|高エネルギー加速器研究機構
私たち物理学者が素粒子物理学や宇宙論・宇宙物理学の立場から「物質の起源」を探る時は、それまでの宇宙の歴史上、全く存在していなかった大昔に、いつどこでどのようにして物質は生まれたのかということまで徹底的に突き詰めます。高エ

核融合の限界

太陽は地球の33万倍の重さがあるようですが、核融合で合成できる元素はヘリウムなのだそうです。太陽の約8倍以上に重い恒星になれば、核融合の限界である鉄までを生み出すことができるのだとか。太陽の8倍以上に重い恒星は、恒星全体の約1%だそうで、かなり希少なのですね。

鉄以上に重い元素を生み出すためには、太陽の8倍未満の星の後半でのs過程、太陽の8倍以上の星の爆発でのr過程、という中性子を集めて合体する過程が必要なようです。s過程(slow)は数千年かけて、r過程(rapid)は数秒で行われるようで、核融合を含めて恒星内元素合成と呼ばれ、特に星の爆発による合成は、超新星元素合成と呼ばれるそうです。

金・ウラン・レアアースの合成

金・ウラン・レアアースなどは、鉄に比べてかなり重い元素のようで、多くの中性子を必要とするため、超新星爆発のr過程だけでは集める中性子数が足りないようです。そこで、中性子が豊富な中性子星同士がぶつかって合体することや、強い磁場を持って回転する超新星が爆発することで、重元素が合成されるという説があるようで、まだ解明されていないことが多いようです。金・ウラン・レアアースなどは合成の機会がさらに希少なのですね。資源が貴重とされる理由の1つなのでしょうね。

中性子星合体は金、プラチナ、レアアース等の生成工場|国立天文台(NAOJ)
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元素合成スゴイ

身近で見たり触れたりしたことのある元素の多くは、合成のハードルが高く、合成の機会も希少なようです。星が生涯をかけて合成した元素が、宇宙に放出され、地球になっているというのはスゴイことですね。地球も我々も、そのような元素で構成されているのですね。元素合成スゴイ。宇宙と地球スゴイ。

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