細胞を調べていたら、脂質は細胞膜を形成する重要な物質という話が出て来ました。油という言葉は、生体内では脂質、栄養としては脂肪、植物油などの油脂に加えて石油や精油などを含めた広い意味で使われているようです。
いろいろな油
油には、植物油などの油脂(主成分:脂肪酸とグリセリン)、石油などの鉱油(主成分:炭水化物)、アロマなどの精油(主成分はテルペン類)などがあるようです。脂肪酸は、植物油などの固まらない不飽和脂肪酸、動物脂などの固まる飽和脂肪酸があるようで、不飽和脂肪酸の結合タイプにはシス型とトランス型という異性体があり、天然ではシス型がほとんどなのだとか。自然に存在する異性体の偏りは、L型アミノ酸の話と似ていますね。
生体内の油
油という響きには様々なイメージが付いて回りそうですが、油がないと細胞が形成できないのですね。細胞膜を形成するリン脂質は、二層になって膜をつくるようで、ほぼ全ての生物で共通の構造になっているそうです。さらに、細胞膜の脂質からは、白血球を集めるプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が生成されるようで、菌に感染した細胞への防御機能となっているのだとか。これらは生理活生物質や脂質メディエーターと呼ばれるようです。脂質メディエーターは、第一世代、第ニ世代、第三世代と発見が進んでいるようで、脂質の世界はかなり奥深いようです。
エネルギー源としての油
脂質は、糖質の2倍以上高いカロリーを持ち、石油などの鉱油も他の燃料よりも高いカロリーを持つようです。炭素と水素が鎖状に長く連なった構造であることが、多くのエネルギーを保持できる理由のようです。高カロリーということは、少ない量で高いエネルギーを作り出せるということで、貯蔵においても使用においても効率が良いのですね。
油を好む動物も多いようですが、鳥類など体を軽くしたい動物にとっては、低重量で高カロリーな油は重要なエネルギー源だと思われます。植物の種の発芽用のエネルギー分としての油や、中には葉に油を蓄える植物のいるのだとか。植物も葉っぱを通じて太るのですね。

油の自然循環
自然界で石油が存在する理由は何なのだろうか、と思っていますが、石油を食べる生物もいるのですね。石油分解菌や鉱油分解菌と呼ばれることもあるみたいですが、油田細菌ともいうのですね。静岡県、新潟県、福井県で見つかった、常温や高温でアルカンなどのパラフィン類を分解する菌、極低酸素でナフタレンなどの芳香族炭化水素類を分解する菌がいるそうです。また、アルカンを生成する菌もいるようで、これも油にまつわる物質循環なのでしょうか。
油スゴイ
芳香族炭化水素やテルペン類など芳香がするものの多くは油に該当するのですね。そして、ほとんどの生物の細胞膜を構成し、貯蔵にも適していて、高効率のエネルギー源としても使われている油の特性は、その用途としても多岐に渡っているようです。たいていの油は水に浮くと思われますが、軽くてエネルギーが高いというも凄いことですね。油スゴイ。地球の生物、スゴイ。