地熱を調べていると、火山の近くでは温泉が湧き出ているという話が出て来ます。温泉は火山活動やプレート運動によって生まれるようで、マグマや地熱、圧力や摩擦などで水が加熱され、地質の違いなどによって特徴が大きく異なるそうです。地球上にはさまざまな種類の温泉があるようですが、温泉は地球の内部活動の表れでもあるようです。
熱循環・水循環
約6000℃と言われる地球のコアから、熱は段階を経て地表に向かって伝わっているようで、地球内部の熱を放出するプロセスの一環として温泉という存在があるようです。地熱の通り道として断層・火山活動・プレートがあり、そこで得た熱を温泉として、外に排出するための構造とも言えるようです。
また、雨水や雪が地下に染み込み、数十年〜数百年をかけて地下深部で加熱され、再び地表に湧出するという水循環のサイクルの1つでもあるようです。水を熱するというプロセスで、様々な物質を溶解・含有して湧出することも物質循環の1つなのかもしれませんね。
いろんな泉質
温泉が含有する成分から、様々な泉質が見つかっているようです。ナトリウムイオンを含む塩化物泉、硫化水素を含む硫黄泉、硫酸イオンを含む硫酸塩泉、炭酸水素イオンを含む炭酸水素塩泉(重曹泉)、二酸化炭素を含む炭酸泉、鉄イオンを含む鉄泉、微量のラドンを含む放射能泉(ラジウム泉)、ケイ素成分を含むシリカ泉、炭酸カルシウムを含む石灰泉があるようです。
他には、古代に堆積した植物が亜炭に変化する際の熱によって発生するモール泉があり、泥炭層などを通過して湧出することで鉱物成分よりも植物成分が多くなった温泉もあるのだとか。
ナトリウムは保水・保温、硫化物は殺菌、炭酸水素はph緩衝、鉄は造血などの含まれている成分によって、効能などの特徴も決まってくるようです。地球上の地質が様々だからだと思われますが、温泉の泉質も種類が多いのですね。濃度や温度やpHによっては生体に向かないものもあると思われますが、地球の内部活動は凄いですね。
温泉湖・地下温泉湖
ハンガリーのヘーヴィーズ湖は、世界最大級の温泉湖で、湖面の面積は約5万m2、全体が温泉であり常に温かいので不凍湖でもあるそうです。その巨大な湖の温水は1日強で全部入れ替わるほどの湯量なのだとか。また、アルバニアの地下127mでは、総周囲345メートルという世界最大級の地下温泉湖が見つかっているそうです。湖の全てが温泉になっているとは、スケールが大きいですね。

間欠泉・カラフルな温泉
イエローストーン国立公園では、高温で蒸気圧が高まり、地面から温泉が高く噴出する間欠泉が多く存在するようです。その中でも最大のジャイアント間欠泉は、7日から12日の周期で、1時間以上噴出し、高さは最大で75 mに達するのだとか。
また、温泉や熱水域には、極限環境微生物のである好熱菌や超好熱菌が住んでいるいるようで、温度によって棲息する菌が異なり、菌ごとにコロニーの色が変化するそうです。70℃以上で青、45℃以下で茶色になり、その間を緑、黄、オレンジ、赤と推移するようです。可視光の色に沿うようにキレイなグラデーションになるのがまた不思議ですね。

温泉を利用する生物
温泉は地球から放出されている熱なので、暖を求めたり、寒さをしのぐために、サルやカピバラ、カモ・オシドリなどの鳥類が、冬にその熱を利用するようです。熱の利用は他に、カエルなどは温泉湧出地のぬるい水たまりで越冬し、ヘビ・トカゲなどは温泉の蒸気で体温を維持し、トンボの幼虫などは温泉湿地で繁殖するそうです。
また、好熱菌などにとっても好ましい高温であり、エネルギー源となる硫黄も含まれているため、温泉はこれらの微生物にとっても良い環境のようです。温泉が流れ込む温泉川には、温泉メダカや温泉ナマズと呼ばれる種もいるそうです。温泉に含まれている成分と相性がいいのでしょうね。
温泉スゴイ
熱の放出プロセスでもある温泉は、一定の熱を確保できる微生物も含めた生態系の1つでもあるようです。熱・水・含まれている栄養などの循環も担い、生物の拠り所にもなっている温泉スゴイ。地球の活動の懐の広さ、スゴイ。