音子に敬意を表して

物質に敬意を表して

光の粒子である光子のように、音の粒子である音子というものがあるのですね。光子はフォトン、音子はフォノンと呼ぶようです。光が電場と磁場の振動であり、光子が波のエネルギーを持つ粒であるのと同様に、音は格子内の原子の振動であり、音子は波のエネルギーを持つ粒となるみたいです。光子は素粒子で、音子は準粒子というものようですが、量子の世界は捉え方で表現が変わってくるのかもしれませんね。

フォノンを量子ビットに〜日経サイエンス2019年12月号より|日経サイエンス
“音の粒子”を操る実験が成功   つかみどころのない“音の粒子”,フォノンの制御に米国の研究チームが成功した。フォノンは音波を構成している振動エネルギーの最小単位で,物質ではないが,光子(フォトン)が光の粒子で … 続きを読む →

エネルギーの波としての音子

原子は互いにバネのように結合して結晶格子を形成し、絶えず振動を繰り返しているみたいです。音が伝わるとは、この振動が物質の中を波のように伝わっていくことのようです。音は、音波という単語の響きや、音が鳴るときの振動や鼓膜の振動など、波や振動として認識することが多いように思われるため、波としての話はイメージしやすい気もします。

音の粒子としての音子

粒子としての音子は物理的なサイズを持つわけではなく、波としての波長やエネルギー量で表されるようです。波長はnmのオーダーで、エネルギーは数meV程度で、電荷は中性なのだそうです。音子は振動のエネルギーを個数で数えるようなもののようで、振動がない絶対零度では音子はゼロ個で、温度を上げて振動が強くなると音子の数も増えていくのだとか。音を粒として捉えるのは不思議な感覚ですね。

音響フォノンと光学フォノン

音子には、音響フォノンと光学フォノンの2つがあり、音響フォノンは隣のフォノンと同じ位相で振動し、光学フォノンは逆位相で振動するのだとか。音響フォノンは低エネルギーで、音波のイメージに近く熱を伝導し、 光学フォノンは高エネルギーで、光によって相互作用するようです。音速は音子の移動速度であり、熱の伝達は音子の移動なのだとか。音は熱とも光ともも密接な関係があるようです。

熱と抵抗と磁性と音子

強固な格子構造はフォノンがスムーズに移動できるので、熱伝導が高く、フォノンが少ないと熱が伝わりにくいということになるようです。また、電子は結晶内を動くとき、フォノンに邪魔されて電気抵抗が生じるようで、抵抗とも関係があるようです。また磁性とも関係があるという話もあるのだとか。

鉄系超伝導体のフォノンと磁性 | 理化学研究所

音子スゴイ

音子は、音を運び、光子や電子とも相互作用をして、熱も伝達する上に、磁性にも関係があるようです。音を量子の世界まで掘り下げると、音子はこれほど多くの現象と連動しているのですね。振動というのは多くの現象を繋ぐキーなのですね。音子スゴイ。地球上の多くの現象スゴイ。

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