雷を調べていると、火の話もよく出てきます。人が火を使わない、本来の自然の中では火はどのような位置付けなのでしょうか。雷が落ちた付近に窒素を提供し、火山が灰によってカルシウムを提供するように、火も自然によって重要だと思われます。乾燥した環境では、枯れた植物が微生物に分解されないため、倒れた植物が地面を覆ってしまい、他の植物の生長を妨げてしまうそうです。火は、そんな枯れて倒れた植物を燃やして取り除いてくれるそうです。

樹皮の厚い木は生き残り、病気の木などは燃えて新たな土壌になるなど、適度な火は森の生態系に必要なのだそうです。特定の種が過剰に成長することを防ぎ、新たに日の光が入る場所が増え、燃えた跡の炭化物で新たな芽が出てくると。自然の火は、落雷による火事や乾燥して猛暑による山火事、噴火による炎のイメージで、パワフルなものが多くほぼ災害のような認識だったのですが、適度な範囲の火というのがあるのですね。

森林や草原の燃焼が起こると、灰による土壌改良、生長を阻害する物質の除去、光条件の変化に加えて、種子の発芽や芽の成長を促進することがあるそうです。どうやら植物の灰や煙に含まれている化合物が、休眠性の種子の発芽や幼植物の生長を促進するようなのです。植物にとっては燃えることが想定の範囲にあるのでしょうか。まるで火との共存を前提としたシステムがあるかのようです。
また、火があることが前提のケースとして、火事などの熱刺激を利用して種子散布をするバンクシアという植物がいるそうです。火の高温で、殻が開いて種子がばらまかれて芽が出るんだそうです。火を利用する種子散布はセロティニーと呼ばれるそうです。そして火事終息後に芽が出るようになっているのだとか。火に耐性があったり、火を利用する植物をパイロファイトというのですね。

そして、エサを捕まえるために火を利用する鳥がいるそうです。ファイアーホークと呼ばれる鳥は、火のついた枝をくちばしで運び、獲物が火から逃げるところを捕まえるようです。また、脚の付け根に熱センサーを持っており、野火で焼けたあとの木に集まる昆虫もいるのだとか。

人類が火を使う前から存在している植物や昆虫や動物が、火を利用するシステムを持っていたとしたら、生態系や各種循環に火という現象が組み込まれていることになると思われます。そもそも地球にはマグマがあり、高温エネルギーは重要な自然の一部でした。人にとって火は必要不可欠だと思われますが、地球上の多くの生命にとっても必要なのかもしれません。火スゴイ。地球スゴイ。