動物大移動に敬意を表して

生物に敬意を表して

鳥やカメなどの長距離移動する生物を調べていると、陸上でも長距離移動する動物の話が出て来ました。空や海という制限の少ない広大な領域や、風や海流などの移動を助けてくれる存在を思うと、陸地での渡りは難易度が高いイメージがあります。山などの傾斜や崖や川などの断絶がある上に、移動を助けてくれるものがないため、常に自力で移動し続けなければいけないと。陸で長距離移動をする動物は凄いですね。

最も長距離移動する動物は、アフリカのヌーというウシ科の動物だそうで、乾季には水や草を求めて移動し、その移動距離は1年で3000kmにもなるのだとか。ヌーは遠方の雷や雲を目指して移動し、ときには50km先の雨を察知して移動するそうです。雨を追いかけて移動し続けた距離の累計が3000kmになるのですね。移動距離も凄いのですが、移動する群れの数も凄く、およそ130万頭の大移動になるそうです。

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長距離を移動する生物は、エサを食べたエリアと、糞をしたり捕食されたり遺骸になるエリアが離れているため、栄養循環という役割を担っていることが多いと思われます。ヌーも同じく栄養循環を担うようですが、そのスケールはかなり大きいようです。ヌーが大挙して川を渡る際、多くが流れにさらわれて命を落とすようで、1100トン以上ものヌーの遺骸が川の生態系を支えているのだとか。特にヌーの骨の役割が重要なようで、骨はゆっくりと分解されて約7年間に渡ってリンを供給し続け、骨の表面のバイオフィルムと呼ばれる微生物の膜は魚のエサとなるそうです。ヌーの存在、スゴイ。

ヌーの大量溺死が川を育んでいた、研究発表
アフリカの草原を毎年、大移動するヌーの群れ。その大量溺死が、タンザニアとケニアを隔てるマラ川の貴重な栄養源になっていることが判明、学術誌「米国科学アカデミー紀要」に発表された。

そんなヌーには一緒に渡りを行う仲間がいるようで、シマウマと助け合って移動するのだそうです。シマウマは背が高く視力が良いため遠くの敵に気づきやすく、ヌーは背が低く嗅覚と聴覚が良いため近くの気配に敏感なのだとか。シマウマが先を見て動き、ヌーが安心して後に続くのですね。また、ヌーとシマウマは食べる草の部分が異なり、シマウマは草の上の部分、ヌーは残った根元の部分を食べるので共存できるのだそうです。うまく組み合わさった共存関係ですね。

ヌーとシマウマ、サバンナで共存する2種の関係性とは。
サバンナを代表する草食動物のヌーとシマウマ。今回はその2種の共存していく上での関係性を見ていきます。

また、翼を広げると1mにもなるアフリカのストローオオコウモリは、渡りを行う群れの数が凄いようで、推定で800万~1000万匹で移動を行うそうです。食べた果実の種は、帰路に排泄を通じて各地にばらまかれ、生態系を豊かにしているのだそうです。これも数のスケールが凄いですね。もはや栄養の雨ですね。

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長距離移動となると広大な陸地が必要となるので、アフリカでの話が多く出て来ましたが、他の大陸でも長距離移動をする動物がいるようです。直線距離で400km以上も移動するモンゴルのモウコガゼル、毎年約270kmも移動するイエローストーンのプロングホーンなど。動物ではないのですが、群れの数が多い大移動として、モンスーンの時期に5000万~1億匹の大群で森から海へと移動するカニがいるのだとか。クリスマス島のアカガニだそうですが、1億って凄い数ですね。

長距離の移動と、大群での移動の2つをテーマに調べてみましたが、どちらも生態系への影響が大きい営みだと思われます。距離も数もスケールが壮大ですね。動物大移動、スゴイ。地球のスケール、スゴイ。

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