雷を調べていると、落雷の際に反物質が生成されている話が出て来ました。反物質は反粒子から構成される物質で、反粒子は粒子の反対の性質を持つもののようです。マイナスの電荷を持つ電子の反粒子は、プラスの電荷を持つ反電子(陽電子)と呼ばれる粒子なのだそうです。反物質や反粒子はどこかSFの世界のような気がしていましたが、現実的にも数多く観測されているのですね。
雷の高電圧が電子を加速させると、高エネルギーの電磁波であるガンマ線が発生するようで、地球ガンマ線フラッシュと呼ばれているようです。このガンマ線によって、ビリヤードのように素粒子が弾き出され、最終的には陽電子が発生するそうです。発生した陽電子は、大気中の電子とぶつかって対消滅するのだとか。対消滅と聞いて完全に無になると思っていましたが、それぞれの粒子の持つエネルギーの合計に等しいエネルギーの光子になるのですね。

この対消滅については謎が多いようで、初期の宇宙では、物質と反物質は同じ量が生まれたとされ、現在の宇宙では物質のみが残っていることが未解明の謎のようです。反物質はどこにいってしまったでしょうね。対消滅すると光子になるのであれば、光子は寿命がないようですし、この世界は光だらけになっているのかもしれませんね。
反物質は対消滅してしまうものの、発生はし続けているようで、ジオスペースなどの地球の周囲には生き残った反物質が存在するようです。ドーナツ型の荷電粒子の輪であるバンアレン帯には、南大西洋異常領域という地磁気が異常に弱いエリアがあり、そこに複数の反陽子が見つかったそうです。その存在密度は宇宙の予測平均の1000倍以上なのだとか。地球は薄い反物質帯に取り囲まれているとも言えるそうです。これも何かバリアのような機能になっているのでしょうか。

反物質は、すごく謎の多い物質のようでもあり、雷という日常的な気象現象でも発生しているとなると、意外と身近な現象なのかもしれませんね。反物質は、普通の物質と同様に重力の影響を受けて落下するようですし。
量子の世界は謎だらけですが、物質と反物質という双対に関する原理があることには何か意味があるように思います。電荷のプラスとマイナス、磁力のN極とS極、引力と斥力、量子スピンの上下、キラル分子の右型左型など、基本的な原理は不思議が多いですね。反物質があって物質が存在しているのかもしれません。反物質、スゴイ。反物質が日常的な地球スゴイ。