液体が固体になると密度が増えるので比重が重くなり液体に沈むものが多いのですが、固体である氷は沈まずに逆に液体である水に浮くと。日常では当たり前の光景ですが、いつも身近にある水は物質の中でもかなり特殊な性質を持っており、同じく氷もかなり特殊な性質なようです。仮に湖などで冷たい風などで水が冷えて氷になり、その氷が沈んだとしたら、次々に氷が沈み表面の水は氷になり続け、湖が全て凍ることになってしまうと。実際は氷は水に浮くので、水中では水が凍らずに生物が生きていけるのですね。氷の性質は生命を育むための性質になっていると思われます。氷スゴイ。
巨大な氷といえば、極地や高山の万年雪が塊になった氷河。氷河が短い時間で大量に融けて、多くの淡水が海に流れ込むと、生態系が変わってしまう恐れもあるそうですが、少しづつ融けることは生態系にとって必要なことみたいです。海水に沈んだ氷河の先が海の底の方から融けて淡水となると、海水との密度差で淡水は上昇し、深い海底から栄養を含んだ海水やプランクトンを巻き上げながら海面まで上がってくるそうです。これも重力に逆らった栄養循環になってるんですね。氷と水スゴイ。
また、流氷の下に生息するアイスアルジーという氷雪藻のことを知りまして。この藻が炭素の循環を担っているみたいなんです。氷は光を通すので、氷の下でも光合成できるのですね。氷の下で大きくなったアイスアルジーは、氷が融けると海底に沈んで行って生物に栄養を提供するんだそうです。雪氷圏でも生きている生物がいること自体が凄いことですが。氷の光を通す性質スゴイ。藻もスゴイ。

流氷はアイスアルジーを育てるだけでなく、2000年かけて循環する深層大循環という流れも生み出しているそうです。流氷は海の水が凍るので、内部にブラインと呼ばれる高塩分水を閉じ込めるそうです。このブラインが水中に抜けていくので、流氷の中はアリの巣のように隙間ができ、その隙間に生物が生息するようです。水中に抜けたブラインは高塩分で低温なので海底に沈み、海の水をかき混ぜるそうです。深層大循環はブラインの沈み込みで生まれるそうです。流氷もスゴイですね。
氷の浮くという特性と光を通すという特性、塩分を含んだ水の特性によって多くの循環が生まれるのですね。氷スゴイ。不思議な水と氷を湛えている地球スゴイ。