DNAを調べていると、イカは、セントラルドグマという生命の基本原理に反する存在だという話が出来てきました。イカのゲノムはヒトの約1.5倍で、タコの遺伝子はヒトの約1.5倍になるそうです。イカやタコは頭足類に属するようで、知能の高さと神経系の発達具合から、海の霊長類とも呼ばれているようです。高度な擬態能力もあり、イカとタコは他の生物との違いが多い生物なのですね。
セントラルドグマに反するイカ
セントラルドグマは、細菌からヒトまで共通する生物の基本原理とされているようで、DNA→(転写)→RNA→(編集)→RNA→(翻訳)→タンパク質となる遺伝情報の流れのことを言うようです。RNA編集は、通常は核内でのみ行われるところ、イカだけは核外で高速で行うことができるのだとか。このおかげでイカは、タンパク質を必要とする体の部位に近い位置で、タンパク質を翻訳することができるのだそうです。
また、ヒトの脳ではRNA編集が数百カ所で行われていることに対して、イカは六万カ所以上で行われているようで、RNA編集は、DNAを変えるわけではないようなので、子孫に伝達される遺伝情報は変えずに、一時的に遺伝情報を書き換えるということになるのでしょうか。その詳細は未解明のようですが、生命としての柔軟性が高いということなのでしょうね。

巨大な遺伝子ファミリーを持つタコ
1つの遺伝子から派生して類似した遺伝子の集まりを、遺伝子ファミリーと呼ぶようで、ゾウの嗅覚受容体の2000個に次いで、タコは動物で2番目に大きい遺伝子ファミリーを持つようです。DNA→(転写)→RNAに関わるジンクフインガー(亜鉛の指)と呼ばれる遺伝子のファミリーは1800個もあるようで、この数が多いと発現するタンパク質の種類も多くなるようです。
また、タコは、トランスポゾンと呼ばれるゲノム上を動く遺伝子の数も多いようで、動物ではゾウ、タコが保有割合が多いようです。トランスポゾンは、遺伝子の破壊や新たな遺伝子の獲得など、進化に関わる遺伝子のようで、この数が多いとゲノムに多様性が生まれて、激しい環境の変化に対応できるのだとか。タコも種としての柔軟性が高いのでしょうね。
高精度なカメラ眼を持つイカ・タコ
動物の目には、主に単眼・複眼・カメラ眼の3種類があり、この中でもカメラ眼は最も進化した目の構造を持つようで、ピントを合わせることができ、解像度も高いそうです。このカメラ眼を持つのは、ヒトを含む脊椎動物以外では、イカ・タコだけのようで、脊椎動物の網膜に存在する盲点がなく、偏光もキャッチし、どのような姿勢でも眼が水平に保たれる点で優れているのだとか。逆さまになったり、真横になっても、イカ・タコの目には周囲が同じように見えているのですね。嗅覚が発達しやすい海中生物の中でなぜこんなにも眼が発達したのでしょうか。
心臓を3つ持つイカ・タコ
イカ・タコは唯一、心臓を3つ持つ生物のようで、全身用に1つ、エラ用に2つあり、そのおかげで高速で泳ぐことができるのだとか。さらにタコは、脳が9つあるようで、頭の脳に加え8本の足にも独立した脳があるため、足の複雑な動きが可能になっているみたいです。心臓も脳も多い生物というのは、何か大きく違いがある進化のような気がしますね。
イカ・タコ、スゴイ
単語だけまとめてみても、生命の基本原理から外れ、ヒトよりも多いゲノムや遺伝子を持ち、核外でもRNAを自在に編集して、動く遺伝子でゲノムを多様化し、非常に優れたカメラ眼を持ち、心臓も脳も多く持っている、というイカ・タコの生物の特徴は凄いですね。なぜこのような能力があるのかは、まだ分からないことも多くあるようですが、宇宙から来たとも言われたりするのも分かるような気もします。他に宇宙から来たと言わたりするトウモロコシもトランスボゾンが多いようですが、何か関係があるのでしょうか。イカ・タコ、スゴイ。地球の生命の神秘、スゴイ。