成長点に敬意を表して

生物に敬意を表して

植物を調べていると、成長点という話が出て来ます。成長点は、細胞分裂が活発に行われ、新しい葉や根などを形成する場所で、主に茎や根の先端の部分にあるようです。成長点にダメージを受けると成長が阻害されたり、要因によっては成長点が移動して新たな成長点から伸びていくとこもあるのだとか。植物の生育にとっては成長点の存在が重要なようです。

縦と横の成長点

成長点には、植物を縦方向に長くするもの(一次成長)と、横方向に太くするもの(二次成長)の2種類があるそうです。茎や根の先端にある縦方向の成長点は、頂端分裂組織と呼ばれ、茎を上に伸ばしたり、根を地下に深く伸ばしたりするようです。また、茎や根の内部に円筒状にある横方向の成長点は、側方分裂組織と呼ばれ、茎や根や幹を年々太くするのだとか。

未分化な細胞

未分化な細胞は、特定の組織や器官に分化する前の細胞で、いろいろな器官に変化することができる細胞のことをいうようです。細胞分裂を活発に行う成長点には、この未分化の細胞が多く集まっているようで、次々と分裂して新しい細胞が作られた後、新たな組織や器官に分化していくそうです。多様に変化可能な細胞は特殊なようで、植物の幹細胞と呼ばれることもあるのだとか。

また植物は、分化を終えた細胞が未分化な状態に戻り、新しい器官を作る脱分化と呼ばれる現象が起きるようなのです。葉に傷がつくと、そこにカルスという細胞の集まりが形成され、その中から組織が再生されるのですね。植物は、1つの細胞から全身のあらゆる種類の細胞を作ることができる、分化全能性という能力を持っているのだとか。植物の再生能力が凄いのは、この能力があるからなのですね。

杉本 慶子氏、岩瀬 哲氏、池内 桃子氏:植物細胞の“分化の逆戻り”を制御する仕組みを発見 | 著者インタビュー | Nature Plants | Nature Portfolio
植物細胞は高い再生力を持つ。つまり、すでに分化を終えて成熟した細胞であっても、未分化な状態に戻り(脱分化)、新しい植物体を作ることができる。一方で、植物体が安定して存在するためには、細胞が勝手に未分化状態に逆戻りしてしまわないような仕組みも...

屈性

植物の屈性は、光、重力、接触刺激などによって伸びていく方向が変わることのようで、それぞれ光屈性、重力屈性、接触屈性と呼ぶようです。成長点では、成長を促すオーキシンという植物ホルモンが作られ、オーキシンは光を避けるように移動するため、光が当たらない方が伸びるのだそうです。結果として、光に向かって曲がるような形になるのだとか。ひまわりが太陽の方を向くのもこの作用なのでしょうね。

また、オーキシンは芽の上部で生成されて重力によって下に降りていったり、接触された細胞から生成されて接触されてない部位に移動したりもするようです。その結果、重力方向に曲がったり、接触された方向に曲がるようで、重力屈性は根っこ、接触屈性はつるが巻き付くときに、効果を発揮していると思われます。

植物が重力方向を感知する仕組みを解明

様々な成長点

成長点がダメージを追うと成長が止まってしまうようですが、これを避けるために、成長点が茎の先端ではなく、地面付近にある植物がいるようです。踏まれて伸びる、踏み跡植物を呼ばれるオオバコや、動物に食べられても伸び続けるイネ科の植物などが該当するようです。

また、成長点は、先端の一カ所であることが多い中で、竹は全ての節に成長点があるために、急速に成長するのだとか。他には、マツやスギなどの針葉樹の成長点は、普段は休眠状態で、春限定で一気に活動するのだとか。

成長点スゴイ

植物は基本、伸びるか太くなるか、くらいしか取り得る手段がないように思いますが、その方法だけで様々な環境に適応しているのは凄いことですね。成長点というシステムは、植物が動物のように動けない中で、置かれた環境で生存するための、高性能な仕組みのように思われます。成長点スゴイ。地球の植物の繁栄スゴイ。

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