重曹に敬意を表して

物質に敬意を表して

日常で便利な重曹ですが、自然界にも存在して必要な役割を果たしているようです。重曹は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)という物質ですが、重炭酸ソーダ(曹達)とも呼ばれ、略して重曹と呼ばれているようです。塩+水+アンモニア+二酸化炭素の組み合わせからも生まれるみたいで、比較的身近な物質だと思われます。

自然界での重曹

重曹は、ナトロンという鉱物の主成分だそうで、ナトロンは、乾燥した湖や塩湖の近くにあることが多いそうです。水が蒸発してナトリウムが濃くなった湖水に二酸化炭素が溶けて、それがさらに蒸発して結晶化した蒸発岩に重曹が含まれるのですね。また、一部の地下水や温泉水には、重曹が溶け込んでいるようで、炭酸水素塩泉や重曹泉と呼ばれる温泉も多いようです。そして、生物の血液や消化液にも、重曹は含まれているのだとか。

2.3 地下水の地球化学特性 – coolrep

重曹の緩衝作用

重曹は、酸性もアルカリ性も中和する緩衝作用があるようで、酸性やアルカリ性に傾きすぎた環境を中和して安定させる働きをするようです。重曹が水に溶けると炭酸水素イオン(HCO₃⁻)になって、酸性の場合は、[H⁺(酸)+ HCO₃⁻ → 炭酸 → 水と二酸化炭素]になり、アルカリ性の場合は[OH⁻(強アルカリ)+ HCO₃⁻ → 水と炭酸イオン(弱アルカリ)]になって中性に近づけるようです。酸性にもアルカリ性にも効果があるのは万能で凄いですね。

pHを一定に保つ役割

pHは、酸性やアルカリ性の度合いを示す指標で、その環境での生態や生体には、それぞれ活動に適したpHが存在するようです。河川や湖沼や土壌では、雨などが混ざったり、二酸化炭素が溶け込んだりすることでpHは変動し、生体では呼吸や代謝によってpHが変動するようです。

常に変動している中で、河川や湖沼の水は、水中生物が住みやすいpH6.5~8.5、土壌は、植物が育ちやすいpH6.0~7.5、生体の血液などは、pH7.35~7.45に保たれることが重要なようです。水や生体に含まれる重曹は、これらの水や土壌や生体内のpHを緩衝して一定に保っているのですね。

日本でも河川・湖沼の酸性化が起こるのか|国環研ニュース 8巻|国立環境研究所
国立環境研究所では様々な環境研究に取り組んでいます。

重曹スゴイ

温泉としての効能もあるようですが、pHを一定に保つ緩衝作用もあるのですね。生態系も生体もですが、変動や攪乱が生じた後に、一定の範囲に戻ろうとする力が働いているのは凄いことですね。流体の中で留まり続けるホバリングも凄いことですが、変化し続けるpHを一定の範囲に留まらせ続ける作用も凄いことだなと思います。環境の変化も相互干渉も起き続けていて、生体内の物質も入れ替わり続けているというのに、ある範囲で一定を保っているというのは、不思議であり神秘的な現象なのかもしれません。重曹スゴイ。地球に存在する緩衝作用、スゴイ。

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