生体を調べていると、生体の中でも歯というのは特殊な部位なのだという話が出て来ます。大まかに、物質を切り分ける切歯や、威嚇や攻撃にも使われる牙にもなる切り裂く犬歯や、物質をすり潰す臼歯に分類できるようですが、歯が無くなることは寿命にも関わるという話も聞いたことがあります。食物を体内に取り込む入口にある部位ですし、消化するためには物質を細かくする必要もあるので、歯は生きていく上で重要な部位だと思われます。
入れ替わる歯
ヒトの歯は乳歯から永久歯に生え変わるので、生涯で1度入れ替わるようです。1度入れ替わってそれ以降は再生しない傾向を二生歯性と呼ぶようで、哺乳類の多くが該当するようです。他には多生歯性と呼ばれる、複数回生え変わる生物も多いようで、ゾウの歯は年齢で生え変わり、生涯で6セットの臼歯を使い回し、サメやワニの歯は生涯で何千本もの歯を生え変わらせるのだとか。歯の前提がかなり違うようですが、攻撃を含め衝撃が加わることが多いものは入れ替え可能になっているようですね。
伸び続ける歯
ハリネズミやビーバーなどの前歯は一生伸び続けるようです。食物をかじり続ける食事の仕方なので、常に摩耗することが考えられるため、ずっと伸び続ける仕組みになっているのでしょうね。伸び続けるため、適度に摩耗していかないとかみ合わせが悪くなることもあるのだとか。ヒトでいう爪や髪と同様に、伸び続けるという仕組みは管理が大変な側面もありそうですね。
鉄の歯
歯はの組成は、主にエナメル質や象牙質のものが多く、カルシムのイメージが強いと思われますが、中には歯に鉄を含む生物もいるのだとか。ビーバーの前歯は鉄分が含まれていて木のタンニンと反応してオレンジ色になるのだとか。また、コモドドラゴンも歯の表面が鉄でコーティングされて非常に丈夫になっているそうです。

天然物質で最強の歯
磯の岩場などに生息するヒザラガイの歯には、磁鉄鉱が沈着しており、素材の破断の耐久力でもある引張強度は、天然物質の中で最強の約5GPaなのだとか。ヒザラガイの歯は、キチンの土台の上に、針鉄鉱のナノ結晶で強化され、驚異の引張強度を実現しているそうです。ヒトの歯の硬さも水晶と同じくらいあるようですが、その50倍近くの強度を持つヒザラガイの歯、スゴイですね。

歯の数
ヒトの永久歯の数は32本で、イヌ・ネコ・ウマも30~40本くらいのようです。ゾウは4本、ワニは60本、サメは数百本にもなるそうです。サメの本数も凄いのですが、サメよりも突出して多くの歯を持つ生物は、カタツムリやナメクジなのだそうです。カタツムリやナマクジの歯は、歯舌と呼ばれ、舌の上にヤスリのように並んでおり、その数は数千本を超えるのだとか。多い種では2万本になるみたいです。
歯スゴイ
生体の中でも噛む力というのも突出して強い力のようですし、歯はその力に耐えることができるように丈夫にできていると思われます。そして再生する歯や高い硬度の歯など、他の部位に比べて念入りで異質な特徴を持つ部位でもあるようです。それだけ大事な部位だということなのでしょうね。歯スゴイ。地球の生体の仕組みスゴイ。