水晶を調べていたら、左水晶と右水晶という種類があることを知りました。水晶の結晶のらせん構造の向きが、左巻きか右巻きかによって決まるのですね。鏡のように対称な形をキラリティーとも呼ぶそうで、この形を持つ分子はかなり多いようです。
鏡像異性体とも呼ばれる鏡像のように対称的な分子は、左巻きを意味するL-アミノ酸、右巻きを意味するD-アミノ酸のように区別されるようです。基本的には、左手型と右手型は均等に存在するようですが、地球上の生物を構成するアミノ酸は左手型がほとんどだそうです。この極端な偏りの理由はまだ分かっていないのだとか。不思議ですね。
そして、糖は右巻き型ばかりで、DNAは右らせんになっているようです。DNAを構成するヌクレチオドという分子は左巻きしか存在せず、左手型のヌクレチオドが形成するDNAは必ず右らせんになるのだとか。DNAを構成している分子は左巻きなのですね。なぜこうも左巻きが多いのでしょうか。巻貝はほとんど右巻きみたいなのですが。

太陽光にも左巻きと右巻きの光が含まれているそうで円偏光と呼ばれるそうです。光合成色素であるクロロフィルやマメ科の植物は、左巻きである左旋の円偏光を好むという話もあるようです。このクロロフィルも左手型の分子なのですね。他にはコガネムシなどの甲虫の羽も左旋の円偏光のみを反射するそうです。
分子の世界では極端な左右の偏りがあるものが多く存在するようですが、さらに小さい素粒子の世界も調べてみると、ここにも左巻きしか存在しないものがあるようです。陽子が中性子になるベータ崩壊と呼ばれる現象のときに、放出される素粒子であるニュートリノは、必ず左巻きになるそうです。このときの弱い相互作用と呼ばれる力は、左巻きの素粒子にしか働かないのだとか。

右巻きのものも存在するとはいえ、左巻きの多さが不思議ですね。自然の世界はバランスが保たれているように思っていましたが、かなり偏っているのですね。これにも何か意味がありそうですが。左巻きスゴイ。地球のアミノ酸の謎、スゴイ。