ケイ素に敬意を表して

物質に敬意を表して

ケイ素(シリコン)は地球上でかなり多く存在する物質であり、半導体の世界や、植物の世界、地中の世界にもよく話が出て来ます。半導体は、金属などの電気を通し易い伝導体と、ガラスなどの電気を通し難い絶縁体の中間的な性質を持っている物質で、電気を通す/通さないの制御に便利なようです。ケイ素にホウ素やリンをわずかに加えるだけで、制御しやすいp型・n型半導体になるようです。また、酸素と反応させると二酸化ケイ素(シリカ)となり絶縁体の被膜となって、これも制御に便利なようです。

二酸化ケイ素の純度が高い石英(水晶)は、絶縁体でありながら、圧力を加えると発電する圧電体でもあるようで、石英は自然界で最も圧電性の強い物質の1つだそうです。地震などによって地中で瞬間的に強い圧力が掛かると、石英に電荷が発生して地中から金が析出して、その金に流れた電荷が金を引き寄せて金鉱脈ができるという説があるようです。地殻の6割は二酸化ケイ素で構成されるようなので、地中では頻繁に電荷が発生しているのでしょうね。

【The Conversation】 巨大な金塊を作るには、石英の鉱脈に数千回の地震を加えればよい|大洋州コラム&リポート|Science Portal Oceania 大洋州(オーストラリア、ニュージーランド等)の科学技術の今を伝える
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また、逆に圧電体に電圧を加えると、結晶が圧力が掛かったように歪むそうで、特に水晶はその歪み~元に戻るまでが周期的で正確で、その振動はPCなどのクロックに使われているそうです。時計などに使われている水晶振動子は毎秒正確に32,768回振動するのだとか。

「水晶振動子の振動機構を世界で初めて解明!」

地球上で最も豊富に存在する液体・固体である、水・二酸化ケイ素には似た性質があるようです。ある温度の液体の密度が固体より高くなったり、高圧化でなぜか粘性が小さくなったりするなど、液体としては異常な動きをすることから、異常液体に分類されるようです。その原因は、テトラヘドラル構造と呼ばれる正四面体の構造にあるようで、ケイ素も、半導体でケイ素の次によく使われるゲルマニウムも該当するようです。なんだか不思議な気がしますね。

【記者発表】水とシリカ:似て非なるもの
○発表者田中 肇(東京大学 生産技術研究所 教授)○発表のポイント◆地球上においてそれぞれ液体・固体として最も豊富に存在する水とシリカの類似性と相違について研究を行い、その物理的な起源を解明することに...

また、水・ケイ素・二酸化ケイ素などは、通常物質ごとに一つしか存在しないはずの非晶質状態を複数持つのだとか。非晶質状態はアモルファスとも呼ばれ、原子や分子が不規則に配置されている状態を指すそうで、ガラスなどは非晶質状態だそうです。身近に多く存在する物質の特性が特殊だというのは不思議ですが、何か意味がありそうですね。

シリコンの非晶質・非晶質転移の微視的機構を解明 | 東京大学 先端科学技術研究センター

身近な砂や岩石は、ほとんどが二酸化ケイ素から構成されていて、地殻も多くの二酸化ケイ素によって構成されているようで、この大地はケイ素によって支えているのかもしれませんね。

他には、陸上で多くの生物を支える主食のような植物であるイネ科は、ケイ素を多く必要とし、海洋の約半数の生物を支えて地球全体の光合成量の20%を担う珪藻類も、ケイ素を多く必要とするのだとか。これらのケイ素を多く取り込む特性は、水を通じて、大地(地殻)と空(空気)、地球(地殻)と太陽(太陽光)を繋ぐ役割があるのかもしれません。ケイ素、スゴイ。地球の構成、スゴイ。

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