ジオスペースに敬意を表して

領域に敬意を表して

地磁気を調べていると、高度50kmの成層圏や800kmの熱圏を超えて、高度6万kmに地球磁気圏と呼ばれる領域があると出てきました。地球を取り囲む磁気が、太陽風と呼ばれるプラズマの奔流から守ってくれていると聞いていましたが、かなりの高度なのですね。定義によっては100km以上は宇宙空間と呼ばれるそうですが、どこまでが地球という扱いになるのでしょうかね。この高度6万kmまでの地球を取り囲む空間を、地球を表す「ジオ」と宇宙を表す「スペース」を組み合わせてジオスペースと呼ぶそうです。

ISAS | ジオスペース最高エネルギー 粒子誕生の謎を追う 放射線帯の研究 / 宇宙科学の最前線

ジオスペースには、地球の磁場に捕捉された陽子や各種イオンがトーラスと呼ばれるドーナツのような形状に分布していて、3つの領域に分類されるそうです。放射線帯(バンアレン帯)と呼ばれる陽子や電子などが1メガ電子ボルトにもなる高エネルギー帯、リングカレントと呼ばれる10~100キロ電子ボルトの荷電粒子が作る巨大な電流が流れる領域、プラズマ圏と呼ばれる数電子ボルトになる電離した気体による領域があるのだとか。プラズマ圏のプラズマは冷たくて密度が濃く、リングカレントのプラズマは熱いそうです。冷たいといっても700度~9000度近いようですが。地球は磁場だけでなく、プラズマや巨大電流に囲まれているのですね。

地球周辺空間は電波を通じてダイナミックに変動
様々なエネルギー状態の粒子が層を成している地球周辺の宇宙空間では、電波がエネルギーを運ぶ役割を担っていることが、ジオスペース探査衛星「あらせ」の観測で明らかになった。

地球に侵入してきた粒子は、地球の磁場によってほとんど地表にくることはないそうですが、現在地球上で最も磁場が弱い場所である南大西洋磁気異常領域では、粒子が入ってきているのだとか。地球に入ってくる粒子もあれば、出ていく粒子もあり、まるで生物の代謝のように入れ替わっているのかもしれませんね。

磁気圏がまるで生命体のようにふるまっているという説もあるそうです。磁気圏は太陽風を口を開けて食べて、磁気圏境界を介してエネルギーを取り込み、磁気圏尾部にエネルギーを蓄積し、放射線帯などでエネルギーを消費し、惑星間空間へエネルギーを排出する、という一連の流れが、まるで生命体のようだとか。確かに食事のようにも呼吸のようにも見えるかもしれません。

太陽風を大口で食べ続ける磁気圏 | 宇宙科学研究所

磁気圏はエネルギーの高すぎる太陽風を弾いてくれているのですが、磁気リコネクションと呼ばれる磁力線のつなぎ替えが起きたときに、プラズマの竜巻が複数発生しエネルギーを巻き込んで取り込んでいるという説があるようです。この磁気圏の食事など、まだ分からないことが多いようです。

宇宙の竜巻、太陽風プラズマを磁気圏へ導く
衛星「MMS」の観測データとコンピューターシミュレーションから、太陽からの荷電粒子が地球磁気圏にぶつかると磁気圏内外の境界面を攪拌するミクロな渦が発生し、荷電粒子が磁気圏内に入り込む様子が明らかになった。

そして、この磁気圏には、約11Hzの磁気音波と呼ばれる電波と、約2Hzの電磁イオンサイクロトロン波(EMIC波)と呼ばれる電波が現れるそうです。この周波数も地球に何らかの影響を与えているのでしょうか。地球の磁場圏内という意味では、地球の影響圏ともいえるジオスペース、地球の直径の10倍程の距離の空間があって、地球上に生命が生きていられるようです。ジオスペース、スゴイ。地球の磁場スゴイ。

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