匂いを調べていたところ、匂いの成分であるテルペン類が出てきました。テルペンは、炭素と水素の化合物で、植物や菌類、昆虫などから作り出される揮発性物質で、森の香り、花の香り、柑橘系の香り、メントールなどはテルペン類に属するようです。植物から放出されるテルペン類には、イソプレン(C5H8)やモノテルペン(C10H16)などがあるそうで、コナラ・ミズナラなどの広葉樹・モウソウチク・マダケなどのタケ類はイソプレンを、カラマツ・アカマツなどを含むほとんどの針葉樹はモノテルペンを、放出するそうです。
森林浴に関する話題でよく耳にするフィトンチッドも、テルペン類などの揮発性物質なのですね。精神安定効果以外に虫や菌を抑えたりする効果もあり、森の植物は、自身の生命維持や成長のためにフィトンチッドを幹や葉から大気中に放出するのだそうです。森林浴ではテルペン類を浴びることで癒されるのでしょうね。
また、テルペン類は雲の発生量にも関係しているようです。砂、塩、スス、煙、塵などが水や氷の粒を引き寄せて雲の核となったり、生物などが放出した蒸気やガスが雲の核になったりするそうです。イソプレンやモノテルペンが雲の核になるだけでなく、セスキテルペン(C15H24)は他の揮発性物質の50分の1の量で雲の発生量を2倍にするのだとか。テルペン類は天気にも影響を与えているのですね。

昆虫は匂いでコミュニケーションを取っているようですが、この匂いは発生させる物質もテルペン類に属するようです。昆虫が同種間でコミュニケーションを取るために用いるフェロモンもテルピン類に似た組成になっているのだとか。同種間ではなく、異種間に影響を与える物質はアレロケミカルと呼ばれるそうです。テルペンは離れた場所にも届くようで、多くの生物が使用しているのかもしれません。

大きな分子になるものはテルペノイドと呼ばれ、コレステロール、カロテノイド、ステロイド、ビタミンA、D、E、K、コエンザイムQ、クロロフィル、ヘムなどもテルペン類に属するようです。テルペン類は日常的にも重要な物質なのですね。テルペン類、スゴイ。地球の物質、スゴイ。